浜名湖フォーラム 13年の歩み

~日本のIT経営推進におけるダボス会議を目指して~

第13回 中小企業のIT経営研究会(8/25-27)浜名湖フォーラム(旧・カリアック会議)が2023年8月25日~27日で開催された。
<参考記事>浜名湖フォーラム2023のご案内 – 一般社団法人クラウドサービス推進機構(CSPA) (smb-cloud.org)

今回も盛況のうちに終えることができた浜名湖フォーラム。数多くの有識者が、日本のIT経営についての取り組み、コメントを発表した。

開催を受けて、浜名湖フォーラム・事務局長 栗山 敏氏からの寄稿をここに公開する。


浜名湖フォーラムの目指すもの

浜名湖フォーラムはIT経営の領域において、我が国のダボス会議を目指そうとの遠大な志を掲げて2011年9月、船出した。共催団体は「一般社団法人経営情報学会・中小企業のIT経営研究部会」と「武蔵大学・松島研究室[1]」であり、当時松島ゼミの門下生であった筆者は、初年度から13年連続で当フォーラムの事務局長を務めている。

浜名湖フォーラムのテーマは当初から、「中小企業のIT経営に関わるものなら何でも可」で変わっていない。それは共催団体がいずれも「中小企業のIT経営の推進」を目的に掲げていたことの当然の帰結である。クラウドサービス推進機構の目的も「クラウドアプリケーションサービスのビジネス活用を推進し、日本経済の持続的な成長の礎となる中小企業の経営改善/経営改革の促進を目指します」と謳われており、この点は現在も一貫している。

[1] 松島教授はその後武蔵大学を退官し、一般社団法人クラウドサービス推進機構の設立とともに理事長に就任され、現在も理事として中小企業のIT経営推進に尽力されている。

浜名湖フォーラムの概要(会場、スケジュール、参加者数、発表テーマ数の推移など)

当フォーラムは毎年8月下旬から9月上旬の2泊3日で開催している。これまでの参加者数、発表テーマ数の推移は図1、表1のとおりである。

2011年当初の開催場所はカリアックという日本商工会議所の研修施設であり、浜名湖の湖畔に立地していた。当時はフォーラム自体が「カリアック会議」と呼ばれていたが、そのカリアックが諸般の事情で2013年9月30日に閉館することとなり、2014年からは会場を浜松市内に移すこととなった。ここで一旦参加者数が減少するが、その後再び増加に転じ、ここ数年はJR浜松駅直結のアクトシティ浜松での開催が定着して2019年までは順調に参加者を増やしてきた。

ところが当フォーラムもコロナウィルスによるパンデミックの直撃を受け、2020年度は断腸の想いで現地開催を断念し、Zoomによる完全オンライン開催を余儀なくされた。現地・対面での熱いディスカッションが当フォーラムの醍醐味であったため、筆者にとってもこの決定は苦渋の決断であった。その後2021年以からはコロナ禍の沈静化、および2類から5類への変更などを踏まえて現地とZoomの併用によるハイブリッド方式が定着し、現在に至っている。

図1.参加者数の推移(グラフ)
表1.参加者数の推移(人数)

今後の展開と成功するフォーラムの要件に関する考察

筆者は、浜名湖フォーラムの特長の一つは参加メンバーのレベルの高さにあると実感している。かつIT経営に関する様々なテーマに実務の中で取り組んでいるメンバーが多く、内容が多岐にわたると共に、非常に実践的である。当フォーラムにはユーザー企業、ITベンダー、大学教員や研究者、あるいは中小企業診断士やITコーディネータといった、いわゆる「士業」など、立場の異なるメンバーが絶妙な割合で参加しており、活発なディスカッションが行なわれている。

浜名湖フォーラムには特段の参加資格はなく、学会メンバーになる必要もない。表1にあるように毎年コンスタントに初のメンバーが参加しているが、そのほとんどは既存メンバーからの紹介や勧誘である。いわゆる「類が友を呼ぶ」システムであるため、初参加でも期待値からそう大きく外れることはなく、その多くが継続参加となっている。また継続の義務もなく、都合のつくときだけ参加すれば良いという、緩い運営としている。

それでも結果的に多士済々なメンバーが毎年参加してくれているのは、事務局長として喜ばしい限りである。 以上のことから当フォーラムの内容や運営を根本的に変更することは、現在のところ予定していない。一方で、テーマの陳腐化やマンネリ化も危惧されるところではあり、従来からのメンバーがある時期から参加しなくなることも当然生じている。それに対しては「来るものは拒まず、去るものは追わず」を基本路線とし、メンバーの新陳代謝を趨勢に委ねるのが賢明と思料している。

この文脈において筆者は、本年のフォーラム初日のオリエンテーションでジョン・F・ケネディの「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うて欲しい」という言葉を引用し、「国」を「浜名湖フォーラム」に置き換えて、「あなたにとっての浜名湖フォーラムとは何か、その参加意義をどこに見出すかをお考えいただきたい」とのメッセージを発信した。早稲田大学の校歌「都の西北」に「集まり参じて人は変われど 仰ぐは同じき 理想の光」という一節がある。発足以来、浜名湖フォーラムの事務局長を務めてきた筆者は、当フォーラムの一つの理想形をこの歌詞に見出している次第である。来年もまた、灼熱の浜松で8月に素晴らしい仲間と共に過ごせる3日間を心待ちにしている。

ビジネス・ブレークスルー大学大学院 経営管理専攻(MBA)准教授
 浜名湖フォーラム・事務局長 栗山 敏